糖尿病とは、血液中のブドウ糖(血糖)が増えすぎ、血糖値が病的に高い状態が続いてしまう病気です。食事で摂った糖分をエネルギーに変えるホルモンである「インスリン」が十分に働かなくなることで起こります。岐阜市中鶉のなかうずらクリニックでは、心臓・血管を専門とする循環器専門医が糖尿病の診療にあたっています。
糖尿病の種類(1型糖尿病と2型糖尿病の違い)
- 2型糖尿病(全体の約95%):遺伝的な体質に加えて、過食(食べ過ぎ)・運動不足・肥満・ストレス・加齢などの生活習慣が重なって発症します。初期は自覚症状がほとんどなく、ゆるやかに進行します。中高年以降に多く見られますが、近年は若い方の発症も増えています。
- 1型糖尿病(全体の約5%):ウイルス感染や自己免疫反応などにより、インスリンを作り出す膵臓のβ(ベータ)細胞が破壊されることで発症します。生活習慣とは関係なく突然発症するのが特徴で、体内でインスリンを作れなくなるため、インスリン注射による補充が不可欠となります。
糖尿病は「血管の病気」でもあります
当院院長は循環器内科の医師として、高血糖を放置した結果として動脈硬化が進み、カテーテル治療や手術が必要になった患者様の診療に長く携わってきました。具体的には、以下のような循環器カテーテル治療・血管内治療の現場での経験があります。
- 心臓の血管を広げるカテーテル治療(PCI:経皮的冠動脈形成術)
- 大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術(EVAR/TEVAR)
- 足の血管に対する血管内治療(EVT)・バイパス術
- 急性動脈閉塞に対する血栓除去術
- 開胸せずに弁を置換する経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)
また、「大動脈内視鏡」に関する臨床研究にも深く携わり、血管の内部でどのように動脈硬化が進行し、プラークが崩壊して血栓ができるのかを観察・研究してまいりました。
自覚症状がないまま「血管の壁」が壊れていきます
糖尿病は、全身の血管が少しずつ傷んでいく病気でもあります。高血糖状態が続くと、心臓の冠動脈や大動脈、足の血管の壁が静かに壊れ、プラーク(脂肪の塊)や血栓が蓄積していきます。
そして「胸の痛み」や「足のしびれ」などの症状が出た時には、すでに血管が限界まで狭まり、心筋梗塞、大動脈瘤・大動脈解離、足の壊疽(えそ)による切断のリスクといった、命に関わる事態や、カテーテル治療・手術が必要な段階に至っていることが少なくありません。
高血糖の放置によって引き起こされる主な合併症
- 大血管障害(動脈硬化症・心血管閉塞):心筋梗塞・狭心症、脳梗塞、足の壊疽(えそ)、大動脈疾患など。緊急のカテーテル治療やバイパス手術、切断が必要となる深刻な病態です
- 糖尿病性神経障害:手足のしびれ、痛み、感覚麻痺(ケガや火傷に気づかず重症化するリスク)
- 糖尿病性網膜症:目の網膜の血管が傷つき、視力低下や失明の原因に
- 糖尿病性腎症:腎臓の機能が低下し、進行すると人工透析が必要に
いったん傷んだ血管を元どおりに戻すことは容易ではありません。しかし、早い段階で血糖をコントロールし、血管の劣化を抑えられれば、こうした重い合併症の多くは防ぐことができます。
当院で行う主な検査
当院では、循環器内科での経験を活かし、単に「血糖値を下げる」だけでなく、「全身の血管(心筋梗塞・脳卒中・大動脈疾患)をどう守るか」という視点で糖尿病の治療にあたります。
- 血液検査(HbA1c・空腹時血糖値・随時血糖値):過去1〜2ヶ月間の平均的な血糖状態を示す「HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)」や、現在の血糖値を測定します
- 尿検査(尿糖・微量アルブミン):早期の腎障害(糖尿病性腎症)を発見するための微量アルブミン尿などを調べます
- 血管・動脈硬化リスクの評価:脈波検査(ABI/CAVI)や心電図などを通じ、全身の血管の硬さや詰まり具合、心臓への負担を評価します
当院の糖尿病治療
1. 食事療法・運動療法(治療の基本)
- 食事療法:無理な制限ではなく、適正エネルギー量と栄養バランスを意識した「長く続けられる食事習慣」をご案内します
- 運動療法:心機能や関節の状態を考慮し、安全かつ効率的にインスリンの働きを高める運動プログラムをアドバイスします
2. 薬物療法(内服薬・注射薬)
患者様の年齢、肥満度、低血糖リスクはもちろんのこと、「将来の心血管イベント(心筋梗塞・大動脈疾患など)をどう予防するか」という観点から、薬剤を選んで処方いたします。
主な内服薬の種類と特徴
- SGLT2阻害薬:余分な糖を尿から排出するお薬です。血糖低下・体重減少効果に加え、心不全や腎機能障害の進行を抑える「心臓・血管保護効果」があり、循環器領域でも重要視されています
- DPP-4阻害薬:血糖値が高い時だけインスリン分泌を促します。低血糖リスクが低く、安全性が高いため広く処方されています
- ビグアナイド薬(メトホルミンなど):肝臓での糖産生を抑え、インスリンの効きを高めます。体重増加を起こしにくい実績豊富な基本薬です
- GLP-1受容体作動薬(経口薬):食後の血糖上昇を抑え、食欲抑制・体重管理をサポートします
- インスリン抵抗性改善薬(チアゾリジン薬):インスリンの効き目を改善します
- スルホニル尿素薬(SU薬)・グリニド薬:膵臓からのインスリン分泌を直接促進します
注射薬(必要な場合)
- インスリン製剤:不足しているインスリンを補う自己注射治療です
- GLP-1受容体作動薬(注射):週1回または1日1回の投与で、血糖コントロールとともに体重・心血管リスクの管理を行います
3. 高度医療機関との連携体制
すでに緊急のカテーテル治療(PCIやEVT)や大手術(EVAR、TAVI、バイパス術など)が必要な状態にある場合や、高度な精密検査が必要な場合は、提携する地域の基幹病院や大学病院へ速やかにご紹介いたします。
専門治療や手術の終了後も密に情報共有を行い、当院で「かかりつけ医」として再発予防と日々の血管・血糖管理を責任持って継続いたしますのでご安心ください。