診察室では循環器内科医として患者さんと向き合い、診察室を出れば院内システムの設計者として画面と向き合う。この二足のわらじを履くようになって、気づけばそれなりの時間が経ちました。今日は少し立ち止まって、いま自分がどこにいるのかを書き残しておこうと思います。
なぜ自分で作るのか
問診票、健診の仕組み、電話対応、診療文書、画像の管理——当院で使っているシステムは、そのほとんどを自分で設計し、構築し、日々の運用まで見ています。外部のベンダーに頼んだ方が楽な場面も、正直たくさんあります。それでも自分でやり続けているのは、目指しているものが「岐阜県一の患者満足度」という、誰かに丸投げしては辿り着けない目標だからです。
患者さんの待ち時間を減らすこと、スタッフが余計な手間に追われないこと、必要な情報がきちんと必要な人に届くこと。こうした一つひとつは、既製のパッケージソフトでは帳尻が合わないことの方が多く、結局は自分の手で作り込むのが一番早いし、一番良いものになる、というのがこれまでの実感です。
いまの到達点
最近取り組んでいるのは、院内に置いた自前のAIサーバーで、電話の録音を文字に起こしたり、ホームページで使う画像を生成したりする仕組みです。技術的な細かい話は別の備忘録に譲りますが、ここで振り返っておきたいのは技術そのものより、「できるようになった」という感覚の変化です。
以前であれば、こうした構想は頭の中にあっても、コードを書く時間や技術的な手段が足りず、形にならないまま消えていくことが多くありました。ところがここ最近、AIエージェントという技術が急速に進化したことで、自分ひとりでも、あるいはスタッフと一緒にでも、以前は諦めていた構想に本気で手が届くようになってきています。これは率直に、大きな喜びです。
医師としての専門は循環器ですが、エンジニアとしての専門は「なかうずらクリニックというひとつの現場」そのものだと思っています。二つの顔は別々のものではなく、患者さんとスタッフ、関わるすべての人が少しでも幸せになるように、という一つの軸でつながっています。
これから
システムは作って終わりではなく、育てていくものだと思っています。院内のDX化はまだ道半ばですし、AIの進化のスピードを考えると、今日書いたこの文章も、数ヶ月後には「まだこんなことをしていたのか」と思うようになっているかもしれません。それならそれで構わないと思っています。備忘録として残しておく意味は、そうした変化の速さそのものを、後から自分で確かめられるようにしておくことにあると思うからです。
これを読んだ方が「??」で終わったとしても、それはそれでいいのです。この文章は、半分は自分自身のために書いています。