看護・医療・福祉・保育などの実習を前に、「学校から予防接種を受けてくるように言われたけれど、何をどうすればいいのか分からない」という学生さんが多く来院されます。このページでは、学校が求めている内容の読み解き方と、当院での受け方をまとめました。持ち物をそろえてご来院いただければ、あとは診察でいっしょに確認しながら進めます。
- 実習で求められるのは、多くの場合 麻疹・風疹・水痘・おたふくかぜの4つと、B型肝炎です。
- 母子健康手帳(予防接種の記録)と、学校からもらった書類を必ずお持ちください。この2つで必要なことがほぼ決まります。
- 結果待ち・追加接種・B型肝炎の3回接種などで数か月かかることがあります。実習の予定が分かったら早めにご相談ください。
こんな方が対象です
- 看護・医療技術・リハビリ・薬学・福祉・保育・教育などの学部・学科で、病院や施設での実習を控えている方
- 学校から「予防接種の記録」「抗体検査の結果」「ワクチン接種証明」の提出を求められている方
- 就職・就業前の健康診断で、感染症の抗体検査を求められている方
当院は内科・小児科のかかりつけ医として、岐阜市内および近隣の大学・専門学校に通う学生さんの実習前接種を受け付けています。
ご来院前に用意するもの
- 母子健康手帳(実家にある場合は、予防接種のページの写真でも構いません)
- 学校から配られた書類一式(要項、提出用紙、抗体検査の基準が書かれたプリントなど)
- 過去に受けた抗体検査の結果やワクチンの接種証明があれば、それも
- 健康保険証またはマイナ保険証(自費の項目が多いですが、ご本人確認のためお持ちください)
学校ごとに「何を提出するか」「抗体検査の基準値」「提出期限」が異なります。書類がないと判断できないことが多いので、忘れずにお持ちください。
麻疹・風疹・水痘・おたふくかぜ ── 接種回数の考え方
この4つの病気は、いずれも1歳以上で2回の予防接種を受けていることが基本です。医療機関で働く人や実習生の指針として広く使われている日本環境感染学会「医療関係者のためのワクチンガイドライン」(第5版、2026年)でも、次のような考え方が示されています。
※ 学校が抗体検査の結果を求めている場合は、学校の要項に従って検査を行います。
「かかったことがある」という記憶だけでは、別の病気との思い違いの可能性があるため、抗体検査の結果で確認します。
抗体検査をせず、最初から4週間以上あけて2回接種する方法もあります。
ガイドラインでは、1歳以上で4回以上の接種は推奨しないと明記されています。「抗体検査の値が基準に届くまで何度も打つ」必要はありません。2回の記録がある方が抗体検査で低めの値だった場合、その後どうするかは学校の基準を確認したうえで診察でご相談ください。
抗体検査(EIA法・IgG)の結果の見方
当院の抗体検査はEIA法(IgG)が標準です。結果は、上のガイドラインの表に沿って次の3つに分けて判断します。
| 病気 | A:あと2回の接種が必要 | B:あと1回の接種が必要 | C:今すぐの接種は不要 |
|---|---|---|---|
| 麻疹(はしか) | 2.0 未満 | 2.0 以上 16.0 未満 | 16.0 以上 |
| 風疹 | 2.0 未満 | 2.0 以上 8.0 未満 | 8.0 以上 |
| 水痘(みずぼうそう) | 2.0 未満 | 2.0 以上 4.0 未満 | 4.0 以上 |
| おたふくかぜ | 2.0 未満 | 2.0 以上 4.0 未満 | 4.0 以上 |
出典:日本環境感染学会「医療関係者のためのワクチンガイドライン 第5版」表1「MMRV抗体価と必要予防接種回数(予防接種の記録がない場合)」より、EIA法(IgG)の値(風疹はデンカ社試薬の場合)。単位は検査試薬ごとの抗体価。学校が別の検査法(HI法など)や独自の基準値を指定している場合は、その基準で判断します。
接種を受けるときの注意
- 4つのワクチンはいずれも生ワクチンです。別の日に分けて受ける場合は、27日以上間隔をあけます。医師が必要と認めた場合は同じ日に複数を接種することもできます。
- 女性の方は、妊娠中は接種できません。また接種後2か月間は妊娠を避ける必要があります。
- 明らかな発熱(37.5℃以上)がある日は接種できません。体調を整えてお越しください。
- 接種後、数日〜3週間ほどのあいだに発熱や軽い発疹、耳の下の腫れなどが出ることがありますが、多くは一過性です。気になる症状があればご連絡ください。
B型肝炎ワクチン
実習で患者さんの血液や体液に触れる可能性があるため、多くの学校でB型肝炎ワクチンの接種と抗体の確認が求められます。
- 3回接種で1シリーズです。1回目、その4週間後、1回目から20〜24週後に接種します。
- 3回目の1〜2か月後にHBs抗体を検査し、10 mIU/mL以上あれば免疫がついたと判断します。
- 免疫がついたことが確認できれば、その後の追加接種や再検査は必要ないとされています。
- 1シリーズで抗体がつかなかった場合は、もう1シリーズの接種を検討します。
2016年10月以降に生まれた方は乳児期の定期接種を受けていることが多いので、母子健康手帳で確認します。それ以前に生まれた方の多くは未接種です。すでに3回接種の記録がある方は、HBs抗体の検査から始めます。
接種から抗体確認まで半年以上かかります。実習の半年以上前から始めるのが理想です。間に合わない場合の進め方は、学校の要項をもとに診察でご相談ください。
その他に求められることがある項目
- インフルエンザワクチン:秋〜冬の実習前に求められることがあります。接種時期はお知らせをご覧ください。
- 百日せき:産科・新生児・小児に関わる実習で話題になることがあります。ワクチンの流通状況により対応が変わりますので、書類をお持ちのうえご相談ください。
- 結核(IGRA検査・胸部X線):学校によっては求められます。胸部X線の設備は院内にあります。
受診の流れ
- 学校の書類と母子健康手帳を確認する
何を提出する必要があるか、期限はいつかを確認しておいてください。分からなければそのままお持ちいただいて構いません。 - ご予約
Web予約または電話(医科 058-277-7757)でご予約ください。内科は予約なしでも受診できますが、予約の方を優先しています。 - 診察
記録と書類を一緒に確認し、必要な検査・接種を決めます。判断は当院が引き受けますので、ご自身で決めてくる必要はありません。 - 抗体検査(採血)や接種
その日に採血や接種を行える場合と、後日になる場合があります。診察のうえご案内します。 - 結果の説明と追加接種
抗体検査の結果は後日ご案内します。追加接種が必要な場合は、間隔をあけて日程を組みます。 - 学校の書類への記入
接種・検査の記録をもとに、学校所定の用紙に記入します。文書によっては当日にお渡しできないことがあります。
4つのワクチンを2回接種する場合は4週間以上、B型肝炎は抗体確認まで半年以上かかります。「提出期限の1週間前」に来院されると間に合わないことがあります。実習の予定が分かった時点でご相談ください。
費用
実習前の予防接種・抗体検査は、原則として自費(保険適用外)です。
ワクチンの料金は予防接種のページをご覧ください。抗体検査の費用は診察時にご案内します。
よくあるご質問
母子健康手帳が見つかりません。
予防接種の記録がない場合は、抗体検査を行って結果から接種の要否を判断するか、記録がないものとして2回接種を受ける方法があります。どちらにするかは学校の要項をもとに診察でご相談ください。市町村によっては接種記録の照会ができる場合がありますので、生まれた市町村に問い合わせてみるのも一つの方法です。
2回接種した記録があれば、抗体検査は必要ないのですか?
ガイドライン(第5版)では、1歳以上で2回の接種記録が確認できれば抗体検査は必須ではないとされています。ただし学校が抗体検査の結果を求めている場合は、その要項に従います。
抗体検査の結果が出るまでどのくらいかかりますか?
採血の結果は後日のご案内になります。結果によっては接種が必要になり、さらに日数がかかりますので、学校の提出期限まで余裕をもってご来院ください。
複数のワクチンを同じ日に打てますか?
医師が必要と認めた場合は、複数のワクチンを同じ日に接種できます。別の日に分ける場合、生ワクチン同士は27日以上あけます。診察でご相談ください。
学校の書類に医師の記入が必要です。
学校所定の用紙をお持ちください。接種・検査の記録をもとに記入します。文書の種類によっては当日にお渡しできないことがありますので、期限に余裕をもってご来院ください。
友人と一緒に受診できますか?
もちろん可能です。同じ学校の方がまとめて来院されることもよくあります。それぞれご予約のうえお越しください。
参考にした資料
一般社団法人 日本環境感染学会 ワクチン委員会「医療関係者のためのワクチンガイドライン 第5版」環境感染誌 Vol.41 Suppl.II(2026年1月)
このページの内容は一般的なご案内です。実際に必要な検査・接種は、学校の要項とご本人の記録をもとに診察のうえ判断します。