循環器内科の診療全体はこちら
「気を失って倒れた」「立ち上がったときに目の前が真っ暗になった」「一瞬、意識が飛んだ気がする」——このような症状を失神といいます。多くは短い時間で自然に元に戻るため、受診しないまま様子を見てしまうことがあります。
失神の原因は、心配のいらないものから、心臓の病気が隠れているものまで幅があります。そのどれにあたるのかを見分けるのは、患者さんご自身ではなく、私たちの仕事です。なかうずらクリニックでは、循環器専門医の院長が問診と診察から始め、必要な検査を選んで原因を調べます。「大したことはないかもしれない」と迷う段階で、まずお聞きします。
このような症状はご相談ください
- 気を失って倒れた/倒れていたと家族に言われた
- 立ち上がったときに目の前が暗くなる、くらっとする
- 一瞬、意識が飛んだような感じがした
- 採血や注射、痛みのあとに気分が悪くなって倒れたことがある
- 朝礼や満員電車、暑い場所で倒れたことがある
- 運動している最中や、運動の直後に気が遠くなった
- 動悸を感じたあとに意識が遠のいた
- 朝起きられず、午前中の立ちくらみやふらつきが続く(中学生・高校生)
- 気を失ったことがあり、車の運転を続けてよいか気になっている
失神とはどのような状態か
失神は、脳へ流れる血液が一時的に足りなくなり、短い時間だけ意識がなくなる状態です。特徴は、自然に、そしてすぐに元どおりに戻ることです。意識のない時間は多くの場合1分に満たず、目が覚めたあとに手足の麻痺や言葉のもつれが残らないのがふつうです。
似た症状に、てんかんの発作、脳の血管の病気、低血糖などがあります。これらは失神とは原因も対応も異なります。区別の手がかりになるのは、倒れる前後の様子です。ご本人が覚えていないことも多いため、そばで見ていた方がいらっしゃれば、ご一緒に来ていただけると診断が進みます。倒れる前に何をしていたか、どのくらいで戻ったか、そのときの様子のメモや動画があれば、それも手がかりになります。
失神の主な原因
神経調節性失神(反射性失神)
長く立っていたとき、痛み、採血、緊張、排尿、咳、暑い場所などをきっかけに、脈と血圧が一時的に下がって起こります。倒れる前に、気分が悪い・冷や汗・吐き気・目の前が暗くなるといった前ぶれを伴うことが多いのが特徴です。失神の原因として最も多いものです。それ自体が命に関わるものではありませんが、倒れ方によってけがをすることがあり、繰り返す場合には起こりにくくする工夫があります。
起立性低血圧
立ち上がったときに血圧が下がるために起こります。脱水、加齢、飲んでいるお薬(血圧の薬、前立腺の薬、一部の精神科のお薬など)、糖尿病などによる神経の障害が背景にあることがあります。お薬が関係している場合は、処方を見直すことで改善することがあります。
心臓が原因の失神
脈が極端に遅くなる、あるいは速くなる不整脈、心臓の弁が狭くなる病気(大動脈弁狭窄症)、心筋の病気などで起こります。前ぶれがないまま倒れることや、運動している最中・動悸のあとに起こることがあります。頻度としては多くありませんが、私たちが最も見逃したくないのはこのグループです。
まず、心臓が原因かどうかを確かめます
失神の診療で最初にすることは、心臓が原因の失神かどうかをはっきりさせることです。ここが決まると、その後の説明も、生活の中で気をつけていただくことも変わってきます。
診察では、お話をよく伺ったうえで、脈の性状、心臓の音(弁の雑音)、寝た状態と立った状態での血圧を確かめます。大動脈弁狭窄症のように、聴診で気づくことのできる病気があります。循環器の診療で最も大切なのは検査の機械ではなく診察そのものだというのが、当院の考え方です(循環器内科のページ)。
そのうえで、心電図と心臓超音波検査(心エコー)で、心臓の形と動き、弁の状態、脈の異常を調べます。心エコーは院長自身が行います(予約制です)。
若い方に多い、神経調節性失神
若い方の失神で最も多いのがこのタイプです。学校の朝礼、採血や注射、痛み、長時間立っていたこと、暑い場所、睡眠不足や朝食をとらなかったことなどが引き金になります。
このタイプの失神は、「気合が足りない」「大げさだ」と受け取られてしまうことがあります。そうではなく、体に起こる反射としてきちんと説明のつく現象です。ご本人のせいではありません。前ぶれに気づいたときの過ごし方、水分と塩分のとり方、立ち上がり方など、日常での工夫で起こる回数を減らせることが多くあります。診断がつけば、ご家族にも、学校や職場にも説明ができるようになります。
診断は、問診と診察、心電図、そして血圧と脈の変化を調べる検査で進めます。当院ではヘッドアップティルト試験は行っていませんが、寝た状態から立ち上がったあとの血圧と脈の変化を測る新起立試験を院内で行っています。
中学生・高校生の朝の不調(起立性調節障害)
朝起きられない、午前中は調子が出ない、立ちくらみやふらつきが続く、朝礼で気分が悪くなる——こうした症状が続くとき、起立性調節障害という体の状態が関係していることがあります。中学生・高校生に少なくありません。
怠けや気持ちの問題として受け取られてしまいがちですが、立ち上がったときの血圧と脈の調節がうまくいかないことで説明のつく状態です。ご本人の努力が足りないから起きているのではありません。
当院では新起立試験を行い、寝た状態から立ち上がったあとの血圧と脈の変化を測って評価します。あわせて心電図で、心臓に原因がないかも確かめます。当院は小児科も標榜しており、お子さまも同じ院内で診ます。学校生活について説明が必要なときは、ご相談ください。
原因がはっきりしないときの調べ方
失神は、症状が出ているそのときの記録がないと原因にたどりつけないことがあります。受診されたときの心電図は正常、ということも珍しくありません。そのため当院では、あとから発作を捉える方法を用意しています。
- ホルター心電図(約24時間) ── 入浴・シャワーのできる機器を使っています。解析は院内で行い、結果は院長が説明します。
- 長時間心電図(最長14日間) ── 24時間では捉えられない不整脈を、最長2週間かけて調べます。
- 植え込み型心電図 ── 皮下に入れる小さな記録装置です。数年にわたって心電図を記録し続けられるため、めったに起こらない発作でも捉えることができます。挿入は小さな切開で行い、必要と判断した場合は当院で実施しています。原因のわからない失神や、原因のはっきりしない脳梗塞のあとに用いる方法です。
どこまで調べるかは、症状と診察所見をもとに、ご相談しながら決めます。
お仕事や運転のこと
失神があったあとに、車の運転や、高いところでの作業、機械を扱うお仕事を続けてよいかは、多くの方が気にされる点です。原因によって考え方が異なりますので、診断がついた段階で、お仕事や運転の状況を伺いながら一緒に相談します。ご自身で判断していただくことはありません。
院内でできる検査
診察のうえ必要と判断した検査を、院内で行います。どの検査を行うかは、症状と診察所見から医師が判断します。日を分けて行う検査もあります。
- 心電図: 2機種を備え、往診先でも記録できます。自動診断に頼らず、循環器専門医が波形を読みます。
- 新起立試験: 寝た状態と立ち上がったあとの血圧・脈の変化を調べます。
- ホルター心電図(約24時間): 解析は院内で行い、結果は院長が説明します。
- 長時間心電図(最長14日間)
- 心臓超音波検査(心エコー): 院長自身が行います。予約制です。
- 血液検査: 貧血や電解質など、院内で当日測れる項目があります。
- 血圧脈波測定(ABI・血管年齢)
- CT(16列マルチスライス)
- 植え込み型心電図
院内で行えないもの(MRI、内視鏡など)や、入院・カテーテル治療・ペースメーカーが必要と判断した場合は、岐阜県総合医療センターをはじめ地域の病院へ紹介し、必要な調整は当院が行います。治療後は再び当院で通院を続けていただけます。
受診のしかた
内科は予約なしでも受診できます(予約優先です)。WEB予約と事前問診をご利用いただけます。
受診したほうがよいか迷われるときは、お電話でご相談ください。看護師がお話を伺います。
診察の際、次のものがあると診断が進みます。
- 倒れたときのことを見ていた方(ご一緒に来ていただけると助かります)
- お薬手帳(飲んでいるお薬がわかるもの)
- 健康診断の結果、以前の心電図
失神についてよくあるご質問
一度倒れただけですが、受診したほうがよいでしょうか。
一度でも構いませんので、お聞かせください。失神は、その後何も起こらない方から、心臓の病気が背景にある方まで幅があり、その見分けは診察と検査で行うものです。「大したことはなかった」と思える出来事でも、そう考えてよいかどうかを含めて、当院が引き受けます。
失神は何科を受診すればよいですか。
まず循環器内科でお聞きするのが一般的です。心臓が原因の失神かどうかをはっきりさせることが、最初の分かれ道になるためです。当院は内科・循環器内科・小児科を標榜しており、大人の方もお子さまも同じ院内で診ます。診察の結果、脳や神経の精密な検査が必要と判断した場合は、当院から適切な医療機関へご紹介します。
気を失ったのに、病院に着いたころには何ともありません。検査をしても意味がないのでは。
失神は、症状のないときに受診されるのがふつうです。そのため、そのときの記録が残らないことを前提に検査を組み立てます。最長14日間の長時間心電図や植え込み型心電図で、あとから発作を捉える方法があります。
子どもが朝礼で倒れました。学校では様子を見るように言われました。
お子さまの失神で最も多いのは神経調節性失神で、その多くは心配のいらないものです。ただし、そうでないものが混ざることがありますので、一度は心臓に原因がないかを確かめておく意義があります。当院では心電図・心エコー・新起立試験で調べます。
車の運転は続けてよいでしょうか。
原因によって考え方が変わります。診断がついた段階で、運転やお仕事の状況を伺いながら、一緒に相談します。
検査はその日に受けられますか。
心電図や血液検査は、診察の日に行うことがあります。心エコーや長時間心電図は予約制でご案内しています。どの検査をいつ行うかは、診察のうえ判断します。
岐阜市中鶉で、気を失った・立ちくらみが気になる方へ
なかうずらクリニックは岐阜市中鶉にある内科・循環器内科・呼吸器内科・小児科と、歯科・小児歯科・歯科口腔外科の診療所です。院長は日本循環器学会の循環器専門医で、岐阜県総合医療センターの循環器内科で長く急性期の心臓病診療に携わってきました。
失神は、原因がわかれば見通しの立つものが多く、わかるまでのあいだの不安が大きい症状です。まずお聞きするところから始めます。